脳梗塞の症状
無症状の脳梗塞
先ほどは、脳梗塞の代表的な症状例をいくつか挙げましたが、実は「脳梗塞になれば何らかの症状が出る」とは限りません。実際は脳梗塞になっていても、症状が出ずに見過ごされることもあるのです。
なぜ「脳梗塞で脳の一部が壊死しているにもかかわらず症状が出ない」などという現象が起こるのかというと、もともと脳はそのすべてをフル活動させて働いているわけではないからです。ですからほとんど働いていない部位の脳細胞が壊死しても、自覚症状が出ないというケースがあるというわけです。
このように、脳梗塞なのに自覚症状がない状態を「無症候性脳梗塞」といいます。無症候性脳梗塞は、本人はまるで気付いておらず、脳ドッグなどで発見されるケースが多い脳梗塞です。「でも、たとえ脳梗塞でも症状がないのなら、日常生活に支障もないし、さほど心配することもないのでは?」と思われるかもしれませんが、この考え方は間違いです。たとえ症状がなくとも、脳梗塞を起こしていることに変わりはないのです。
また、脳梗塞になった際に自覚症状が少しでも出れば、その後は再発防止に生活習慣の見直しなどにも気をつけるでしょうが、無症候性脳梗塞ではそれもありません。
つまり無症候性脳梗塞の人は、脳梗塞になった後も「脳梗塞になりやすい体質」を改善することがないまま生活し続けることになるのです。そのため、いつか「症状が出てしまう部位での脳梗塞」を起こしてしまった場合、重症化するリスクが高いというわけです。
ですから無症候性脳梗塞は「症状がなくとも、その裏に恐ろしい危険性を秘めている脳梗塞」といえるでしょう。
脳梗塞の主な症状
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あなたがもし脳梗塞になったら、どんな症状に見舞われるのか。これは、ぜひ事前に知っておきたいところですよね。ですが、残念ながら脳梗塞の症状はひとつだけではありませんので、はっきりと「この症状が出ます」とは断定できません。
脳梗塞の主な例を挙げるだけでも、かなり多岐にわたります。
・手足の麻痺などの運動障害
・手足のしびれなどの感覚障害
・ろれつが回らなくなるなどの言語障害
・意識がもうろうとしたり、意識を失ったりする意識障害
・視野が半分欠けるなどの視野障害
この中でもっとも多いのは運動障害ですが、運動障害が出ないからといって「脳梗塞ではない」とは限らないというわけです。なぜ同じ脳梗塞でも、これだけ症状に違いが出るのかというと、脳は、その部位ごとに担当する役割が異なるからです。スポーツなどで、ポジションによって役割が異なるのと似たようなものです。
ですから脳梗塞が脳のどの部分で起こり、どれだけの範囲の脳細胞が壊死したかによって、出てくる症状が決まるというわけです。脳の役割分担はかなり細かく分かれており、これを事前にすべて覚えておこうというのはかなり難しい話です。
ですからまずは、「脳梗塞の症状で特に多いのは、上記に挙げた症状例」という感じで覚えておくといいでしょう。そして上記のような症状が出たらすぐに、救急車を呼びましょう。間違っても、症状が少し楽になるまで安静にして様子を見よう、などと考えてはいけません。
また、「今ならまだ何とか運転ぐらいはできる」と、自分で運転して病院に行くというのも危険です。途中でさらなる症状悪化が起こって運転に支障をきたし、事故につながる可能性がありますから、絶対にやめましょう。
脳梗塞の前兆と見分け方
「脳梗塞かな?と思う症状が出たが、その後すぐに治まったので病院には行かなかった。ところがその後、本当に脳梗塞になってしまった・・・」このように、脳梗塞の症状が本格的に出る前に、脳梗塞の前ぶれとなるサインである「TIA(一過性脳虚血発作)」の症状が出るケースがあります。
TIAは、脳梗塞と同様に脳の血管に血栓ができて詰まるものですが、脳梗塞と違って血栓が自然に溶けるため、症状が一過性で治まるという特徴があります。
このTIAは脳梗塞患者のうち約3割もの人が経験しているのですが、時間がたつと症状が治まってしまうので、つい軽視してしまいがち、というのが最大の問題。
なぜならTIAになるということは、血栓ができやすいという証明でもありますから。事実、TIAになってから1週間~1ヶ月経過した頃に本格的な脳梗塞になってしまう人が多く、「あの時に受診していれば・・・」と悔やむ人は後を絶ちません。
では、脳梗塞の前ぶれ症状・TIAにはどんな症状があるのか、それを具体的に挙げていきましょう。
・体の半身が動かせない。思うように力が入らない
・体の半身にしびれを感じる。感覚がにぶい
・ろれつがうまく回らない
・舌がもつれて発音が不明瞭になる
・いきなり視野が欠けた
・片側の目が見えなくなった
・目のピントが急にあわなくなった
・物が見えているはずなのに、それが何か認識できない
・今触っているものが何かが分からない
・難しくもない会話なのに、言われていることが理解できない
・言いたいことを言葉にできない
・めまいやふらつきの症状が出た
・何だか意識がもうろうとしている
・一時的に意識を失った
たとえ一時的なものであっても、これらの症状が出たら、「すぐによくなったから」と放置せず、必ずすみやかに受診しましょう。



